B01

新学術領域研究 質感脳情報学

疎表現に基づく質感と3次元形状の同時推定

 質感は,現実世界における視覚機能を理解する上で本質的な要素である。従来,陰影・ハイライト・透明感といった因子ごとに分解されて扱われていた3次元知覚についても, 質感を手掛かりとすることによって,統合的な理解が可能になると期待できる。これは,皮質における統合の計算原理という,視覚系・感覚系全体の基本原理を対象とする研究の創造に繋がるものと期待できる。 本研究では,リアリスティックな質感をもつ刺激から生起される3次元形状知覚の理解に心理物理学的・計算論的にアプローチする。

網膜像は,光源(L),反射特性(R),物体形状(n)の積算から生成される。一般に3者は未知であり,像から同時推定することは困難である。

基本とする複数のBRDFをmorphingすることによって段階的に反射特性を変化させた刺激を作成した(A)。この刺激を用いて順応実験を行う(B)。 順応によって質感知覚に変化が生じるかを観察し、これより皮質における反射特性の表現を検討することができる。