- 荻谷光晴、速水悠紀,酒井 宏 -
私達は、左右に6cmほど離れたふたつの眼をもっています。ある物体を注視すると、それよりも手前にある物体の像は、左右眼で少しづつずれます。遠くに ある物体は、その逆方向にずれます。これが空間的な両眼視差です。次に、遮蔽物が左側にあって、その後ろから物体が右へ動いて出てくることを考えてみま す。このときには、右目に先に見え、左目には少しあとから見えてきます。これが時間的な両眼視差です。脳では、これらの視差を利用して、物体の奥行きと運 動を知覚しています。
ここでは、物体が移動する様子を、細いスリットをとおして見せる実験をしています。これにより、時間的・空間的に限られた情報だけを見せることができる からです。十分に制御した刺激を見せる実験をして、どのような皮質メカニズムになっているかを研究しています。
上の写真は実験暗室と機材の様子。左眼像・右眼像を150Hzで交互にモニターに呈示し、これに同期してゴーグルに付いた左右の液晶シャッターを交互に開
閉することにより、両眼視を実現しています。この写真では、スリット幅を実験の約100倍にして、右目像と左目像がはっきり写るようにしました。
Computer
Graphicsなので、物理的には存在しない刺激も作れます。また、高速・高解像度の専用モニターを使い、心理物理実験に耐える精度を得ています
(Visual Stimulus Generator, Cambridge Research Systems Inc.)。