時空間的な両眼視差情報の抽出と統合

スリット視を利用した3次元構造知覚の研究

- 荻谷光晴、速水悠紀,酒井 宏 -


 私達は、左右に6cmほど離れたふたつの眼をもっています。ある物体を注視すると、それよりも手前にある物体の像は、左右眼で少しづつずれます。遠くに ある物体は、その逆方向にずれます。これが空間的な両眼視差です。次に、遮蔽物が左側にあって、その後ろから物体が右へ動いて出てくることを考えてみま す。このときには、右目に先に見え、左目には少しあとから見えてきます。これが時間的な両眼視差です。脳では、これらの視差を利用して、物体の奥行きと運 動を知覚しています。
 ここでは、物体が移動する様子を、細いスリットをとおして見せる実験をしています。これにより、時間的・空間的に限られた情報だけを見せることができる からです。十分に制御した刺激を見せる実験をして、どのような皮質メカニズムになっているかを研究しています。