大域統合による局所運動の無視 

-  谷 浩司、酒井 宏   -


 我々は自分自身の周りの環境を理解するために、眼から得られる情報に多くを頼っています。しかし、眼から得られた視覚情報がそのまま 知覚されるわけではありません。視覚情報は、脳の視覚皮質と呼ばれる場所で処理され、その結果を我々は知覚しています。その処理の 途中で、情報の統合や分離が行われていることが知られています。その結果、実際に呈示している視覚情報が無視されて知覚されること があります。このようなことがどのようにして脳内で起こっているかはまだ詳しくはわかっていません。
 現在、二つの眼にそれぞれ異なる画像を同時に見せることができるスコープとディスプレイ(下図)を使い、3次元空間を移動する物体が どのように統合され、知覚されるかを心理物理実験を通して研究しています。